彼女が悲しむことには、変わりないのだろうけど。

金曜がんばったね。


今日はお給料日。

たまには母を、連れ出して

外食でおもてなし。

二週間後の母の日はまた別に、ね。


ご近所のお蕎麦屋さんへ。

鴨せいろとか、天ぷらとか、

ちょっと贅沢に。


かえりみち。

ちょっと寒かったけど、

母といっしょに、

夜道を歩く。


日曜夜に柴又から帰ってきてから、

母と小島さんの話に、ならない。

たぶん。

私と小島さんとの間が、

思ったよりは順調でないことを

すでに気づいているのでは、と思う。


それが、

態度に出てしまう私にも問題があるけど、

それ以上に母の、娘の機微を見通す、

母親としての慧眼にただ、感服するのみ。


それでも、母から。


「来年の今頃は、どんなふうに暮らしてるのかね、みんな。」

歩きながら、ぽつりと、母が。

…ん?

何の意図が?


いや、

けっこう、イタいつぶやきだよ、それ。

つまり。

私に何の変化も起きなければ、

ずっとこのままの生活が続く、って、

言いたいんだよね。


「幸せは、もうすぐ、そこまで来てるんだよ、きっと。」

何の根拠もなく、抽象的なことを言ってみる。


「だったら、いいね。楽しみだなあ。」


母が、含みを持たせて、つぶやく。

親子で、こんなに駆け引きみたいに

意思の疎通をはかるなんて、初めてかも。


逆に言えば。

先行き不透明な小島さんとの関係について、

すでに、素直に言及するのが憚られる状態に

なりつつある、とも言える。


そして。

彼との関係が破綻したら、

母が悲しむだろうって、それはもう、

考えなくてもいいかもしれない。


もう母は、その結末に帰することを

すでに覚悟しているだろう。


妥協して私が幸せになれなければ。

彼と決別することになれば。


彼女が悲しむことには、

変わりないのだろうけど。


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