(前回から続きます。)
「今日はめぼしい車がなかったなあ。もう2時になっちゃったから、飯食って退散しよう。」
森山君が車、運転しながら。
「うん。付き合ってくれてありがとう。どこかでご飯にしよ。」
「今日はオレが出すよ。さっきスマホで予約しといたから。」
車が入ったのは。
…回転寿司、ね。
混んでるけど、予約できてるんだ。
すぐに席に着けて、食べながら反省会。
「まだ本当におうちの周辺しか見てないから、もう少し範囲を広げて探してみればいいよ。人気の車種だから、タマはいくらでもあるよ。」
「クルマ買うのって、いろいろ大変だね。」
「車は、財産だからね、所持したら…。便利だけど、それなりに手間もコストもかかるんだよ。」
なんか、違う方向を見ながら、森山君。
視線の先には、何が? いや、べつに何も。
二、三歳の女の子と
パパとママの親子連れの、お客さん。
…を見てるの?
「…なに? 可愛いお嬢ちゃんがいて、羨ましいの?」
いたずらっぽく笑って、ツッコミ入れる。
「あのパパさんだって、毎日ヒイヒイいって働いてるんだろうな、って思ってね…でもあの子の笑顔のためって思えば、どんなことでも我慢できるんだろうな。」
視線は、その親子連れのまま、お茶飲んで。
「じゃあ、森山君もがんばらなきゃね。」
…またそっちの話になりつつ。
「…大野さんは、好きな人いないの?」
来た。
車選びと彼のアプローチは、
バーターでセットみたいな(笑)
でも、期待させると申し訳ないから、
ここらではっきり伝えておこう。
同期だから、ね。
「私、もう結婚はしないって、決めたんだ。」
(次回に続きます。)
