週明け。
篠原さんも元気に出社。
何事もなかったように。
まずは、よかった。
休んでご迷惑おかけしましたって、
みんなに声かけてた。よしよし。
皆さん、複雑な表情で、でも笑顔で。
「朝、課長に許可もらったから、ちょっと話そ?」
彼女、少し表情が曇ったけど、
「わかりました」って。
食堂は朝のいま、ほとんど人がいないから、
ここで話そう。
「体調はどう?」
「4日も休んだので、大丈夫です」
もう、不機嫌そう。
なんて言おうか、考えてきたけど、
これって、管理職の仕事なんじゃ…。
でも、彼女だからこそ、敢えて言わねばならないことがある。
それは、他の人には抱かない、特別な感情かもしれない。
彼女のこと、好きだから? 気に入っているから?
それも全然違う。
敢えて話すのは、なぜ───。
私の受けた苦痛や困難を、再び誰かが受ける姿を、
それが誰であっても、もう二度と目にしたくないから
…かな。
「先輩がたに、意地悪な人や攻撃的な人がいるのはたしかで、それはどこの職場にもいると思う。…でも、そんな人にいちいち腹を立てたら、一日つまんないよ。パワー使うしさ。それでも問題があれば、聞くから、私や課長に相談して?」
無言…。
他はいろいろ。職場はチームで動いていて、ミッションはひとりひとり違っていても、最終的にはチームが目標を達成できるよう、協力し合って仕事を進めていく云々。だから、チームの「和」も重要なんだ、って。
話そうと思ってたことを全部話せたかわからないし、
ちゃんと伝わったかどうかもわからないけど。
「いつまでもふてくされていたら、どんどん敵が増えて、立場を失っていくよ。」
…って、他の誰かならそんな風に言っちゃうかもしれないけど、彼女には言えない。
だってもう、そうなってしまってるし、それがけっして彼女だけが原因で引き起こされているわけではないことも知ってるから。
う~ん、それでも言わなきゃいけないのかも知れないけど。
いつまでも話してられないし、仕事に戻んなきゃ。
体調が回復したことと、トラブルの原因を客観視できたことと、朝しっかりあいさつはしよう、ということと、チームの雰囲気を大事にしよう、ってことをお互い確認して、仕事に戻った。これには、古田課長のアドバイスも加わっていて、自分ひとりで考えたことではないけど。
そのあと、とくに問題なかったけど、あいかわらず不機嫌そう。
チームの雰囲気をって、そういうところだぞ、篠原さん。
