もの欲しそうに観察するもんじゃないわよ。

やっぱり。


篠原さんと、山本君は、仲がいいねぇ。


自分に何も起こらないもんだから、

人の色恋が気になっちゃってもう(笑)。


今夜も定時過ぎてから、山本君が帰社。

パソコンのモニタやらファイルボックスの陰から

のぞき見。


山本君が何か冗談言ってる。

篠原さんが、ふだんは絶対に

見ることができない笑顔(笑)で聞いている。


あーあ、楽しそうで、なんかもう…。


篠原さん、笑う時、口元隠すの、

それ山本君を意識して?

やるなあ、いいよあなた、お上品そうで。

私も真似しよ(笑)


「大野さん。」


隣りの席の高畑さんに顔を覗き込まれ。

ギョッとして、我に返る。


「帰るね。」

「あ、高畑さん、お疲れ様です。」


まだ残るの?と、身支度しながら高畑さん。

「もう少しで片付くんで、私も。」

「もの欲しそうに観察するもんじゃないわよ。」

いたずらっぽく笑って、彼女出てった。


バレてた。恥ずかし。


ちぇっ、私だって、そこそこモテるんだから。

でも運がないのよ、男運が。

あんなツンデレの小娘に、負けるものですか(笑)


だめだ、疲れた。

もうパワーゲージが残りわずか。

帰ろ。


明日、がんばる。


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