高畑さんって、謎の人だよ。
お昼休憩は私と高畑さんは
必ず便を分けて取るから、
あんまりお話する機会が、ない。
でも今日、
イレギュラーでふたりで休憩。
いろいろ聞いちゃえ。
ご迷惑かも、だけど。
住んでるところとか、
休みの日、何してるのか、とか。
子なしバツイチは聞いているから、
ここにはあまり触れないように。
そしたら、露骨に、じゃないけど、
少し困ったような戸惑ったような表情。
あ、やっぱりご迷惑か。
「プライベートなことは、あまり話さないようにしてるんだけど。…という前に、私の私生活に興味ある人なんかいないから。」
「そんなことないですよ。私は先輩として高畑さんを尊敬してるし、見習いたいし、どんな人なのか、もっと知りたいなって。」
彼女、困ったふうに笑ってたけど。
でも、じゃあ少しだけって、質問に答えてくれた。
年齢は、もちろん聞けなかったけど、
ミドフィフ(って言葉あるのかな?)かな。
ご自宅は、意外に近所で、ひと駅隣りくらい。
お父様と二人暮らしで、日中はデイサービスの方が来てくれる。
お母様は5年前にお亡くなりになって。
趣味は特にないけど、お父様の食べたいものを
休日に作ってあげるんだって。
お買い物とか、出かけるのも好きだけど、
お父様をひとりにできないから控え気味とのこと。
家が古くなってきたから、
この先どうしようか考えてるって。
本当にひとりになったら、土地も家も売って
アパートにでも引っ越そうかなって、言ってた。
「ありがとうございます。少し、高畑さんのことがわかったように思います。」
「こんなのでいいんだ。」
「もうじゅうぶんに。」
本当は、もっと聞きたいこと、あるんだ。
再婚は考えなかったのか、とか、
子供は欲しくなかったのか、とか。
ひとりになったら寂しくないか、とか。
ひとりで生きてゆくと決心したら、
私の将来の延長線上にいる人のような高畑さん。
私は彼女のように生きてゆけるだろうか。
さっそうとして、責任感があって、
同性から見て、かっこよくって。
う~ん、
…無理だろうなあ。
