「好きなひとが、できました。」

ゆうべのこと。


山中君と居酒屋へ。

週末、明日はお休み。今週がんばったし、

ちょぉっと本格的に飲んじゃおかなって、

こんな気合いの入れ方したのがまずかった。


「きょう、お土産のお返し、持ってないから、かわりにここのお代持つね。」

「いえいえ、自分も出しますよ。誘ったのぼくですし。」

「まあまあいいから、さあ飲もう飲もう!」

「ほんとお酒、好きですね。」

ふたりともまずは生中。乾杯して、ぐびぐび。

おいしいねえ。


けっこう、タガ緩んでそう。今夜。

控えめに控えめに。


「プロジェクトは、その後どうなの? うまく進んでる?」

ちょっと渋い顔になって、彼。

「上の人たちは、それをやらせるのが仕事で、その結果、どうなろうとまるで関心がないんですよ。それがよくわかりました。」

「お、お、なんか大人発言~。成長したねぇー。」

「まじめに話してるんですよ。茶化さないでください。」

「ごめんごめん。」


組織で働くことの意義とか、自分が犠牲になってでもチームを引き立てることの是非とか、チームで意志が統一できないときの対処法とか、ここ3ヶ月くらいで多くのことを学んだとか。

難しいこと、ひとりでしゃべってる。

それよくないって、前も教えたよね。

とくに女子と一緒に時は、ね。

そっちのほうは、まだまだ勉強だね。


そんなんで、お酒がすすみ───。

ちょっと話題も途切れた頃。


山中君、少し姿勢正して。

「じつは、ひかりさんに相談したいことがあります。」


こういうの、直感でわかる。

いい話では、ない。


「何、何、私でよければ、相談乗るよ。」

少し怖いけど、聞くしかない。


「…好きなひとが、できました。」

(次回に続きます)


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