(前回から続きます。)
…イライラしてきた、って。
ちょっと表現が違うかも。
苛立ち、というより、焦り? 焦燥感、というか。
山中君。
柏木さんのいいところ、好きなところを列挙しだして、
私に説明するんだよ。
わかったわかったよ。飲みながら、
とりあえず相槌うったけど、内容が、頭に入っていかない。
まあ、どうでもいいことだよ私にはもはや。
なんでこんな寒々しい公園で、
発泡酒飲みながら、彼のノロケ話聞いてんだろ。
若いふたりを祝福して応援して───。
無理。そんな、人間できてないから、私。
でも、うまくいかなきゃいいのに、なんて、
さすがにそこまでは。
「彼女、いつもお昼一緒の、私のマブダチだから。」
「…マ、マブダ? 何ですかそれ。」
「まあいいよ(笑) 仲いいから、君のこともたぶん筒抜けで教えてくれるよ(笑)」
「それは、いやだなあ。」
「どーしてよ。いいじゃん。」
そんなで、さすがに風が冷たくなってきたので、退散。
今日ありがとうって、
背中で手振って挨拶して、駅の改札口へ向かった。
…帰宅して。
もうちょっとで、日付変わる。
今夜はお風呂キャンセル界隈で、いいよね。
ベッドに横たわり。
…マブダチって、昭和の世界だよね。
彼が知らないの、無理ないか。
思い出してニヤニヤしてたけど。
でも。
ずっと我慢してた涙が、ぶわってこみあげて。
片方の眼からあふれた涙が、
もう片方の眼に入って。
なんか、懐かしいな、こんなのって。
ほんとに好きだったんだね、彼のこと。
でも無理じゃん。しょうがないよ。
今夜で、忘れよう。
だから、今は。
思いっきり、泣いていいよ、私。
