「お前はもうツーアウトだ、と言われました。」

月曜おはよ。


週の始まりは、営業部の朝礼。

いつも気だるい集まりで。

みんな、話聞いてるのか

聞いてないのか。


今朝の主役は、何と言っても

復帰して、ごあいさつの山田君。

ご迷惑ご心配をおかけしました、

今日からバリバリ働くので、とか

決意表明があって。

おもむろに拍手が起きて───。


今日の司会の一課の石井課長が、

少し前に出て、朝礼を締めようかって、

雰囲気になったんだけど。


「先週。」

まだ話が終わっていないとばかりに、

山田君が続ける。

あれ、まだ?って全員が注目。


「…先週、古田課長との面談がありました。」

あ、お昼前に私服で来たとき、ね。

何だ何だ?


「課長に、お前はもうツーアウトだ、と言われました。」


うっ、メンタルやられてたのに、

傷口に塩塗り込むみたいな?

たしかに、二度の戦線離脱で。

ツーアウト、か。

フロアに、少し、緊張が走る。


「スリーアウトになったら、オレはもうお前に仕事を与えない。この仕事はやめるべきだ、と、そうおっしゃいました。」

やば。やばいよ。マジな展開に。


古田課長、口元に少し笑みを湛え、

おうそれで?みたいな面持ち。


「ですが、こうもおっしゃいました。仕事には向き不向きが当然あって、その選択を誤る時だっておおいにある。誤ったなら、何度でもやり直せばいい。いちばんいけないのは、誤っていると気づきながら、我慢して心を病んだり、惰性でずるずると現状に甘んじることだ、と。」


みんな、しんとして聞いている。

山田君も、坦々と。

なんなら少し笑みを見せながら。

朝礼の時間は、

もう5分近くオーバーしている。


でも古田課長、

的確なアドバイスのように聞こえるけど、

「やめるべきだ」って、

少し乱暴のような気もして。

いつもの愛妻家+満点パパの

裏の顔を見たようで。

みんなも同感なのか、

朝礼が、少し、ざわつく。


「そこで私は理解しました。」

(次回に続きます。)


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