何かできることはある? って聞こうとしたけど。

気がつけば。


みんな、忙しそう。

自分らだけが忙しいって、

思ってたけど、

そんなことはないんだよ。

結局、忙しくて被害妄想に囚われて。

なんで自分らだけが、って。

あまりに身勝手で自己中すぎる。

あらためねば。


営業さんも、遅くまで残ってるみたい。

とくに官公庁や公立の学校がメインのお客様の

わが二課は、年度末に結果を出すには今が

最後の追い込み。

夏休みにバカ話ばかりしてた白石さんとかも、

真面目な顔して取引先と電話で情報交換。

やるときゃやる、ってかっこいいね。


夕方。

入荷した商品を確認しに地下へ。

営業の皆さんが続々帰社してきて、

半地下の駐車スペースもにわかに賑わって。


あ、山中君だ。

隅の自販機の前で缶コーヒー飲んでる。

おかえり、お疲れ様。

最近は顔も合わせず、ご無沙汰だね。

目が合ったので、話しかける。


「ここのところ、ずっとしんどいです。」

しんどい、って、関西の方言なんだってね。

彼は岡山の出身って、聞いた。


「無理しないでね。山中さんが体壊したら、私も悲しいよ。」

何かできることはある?、って聞こうとしたけど、

あの話になっても困るので、口をつぐんだ。

「大野さんの顔見れたので、ひとまず今日は乗り切れそうです。」

時間を見ると、5時10分。

定時が来てないので、名字で呼ばれちゃった。


ちらと笑って、車に戻った彼。

がんばってねって、思わず口ごもる。


真っ赤な夕焼け空が。

もっと自分に正直になれって、

見下ろして語りかけてくる。


そうね。正直に、ね。


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