あれから。
母に、姉の現状について、説明を受けた。
私が聞きたかったからではなく、
母は。
自分の娘として、次女として。
情報を共有して欲しかったんだと思う。
8月。
帰省して、広島に帰ったあと。
ユウが、クラスメイトをいじめた、として、
姉は、
学校に何度も呼び出しを食らった。
家では、もう小学校四年なのに、
夜尿で幾夜も、布団を濡らしたという。
かんしゃくを起こすこともしばしば。
10月には、心療内科に通院した。
ご家庭に何か問題でも? と医師に聞かれた。
問題はありあり。
それが原因で問題行動を起こしているのは、
もう明らか。
あんなに、
会社での自分の立ち位置にこだわり、
出世することが自分のアイデンティティの発露と、
あまり家庭を顧みなかった吉田さんは、
すっかり改心して、
父親としてひとり息子に寄り添い、
会社も休んで、ユウの通院に同行してたらしい。
姉は。
そこで理解した。
夫は、
自分のことを、もう愛していないのかも知れぬが、
息子のことは、愛していると。
そして、
ユウには、父親として、夫が必要だということに。
それは妥協じゃない。
幼いころから、利己的で、
自分のことしか考えていないような姉が、
みずからを犠牲にして、
息子の将来のために、決めたこと。
他に女性をつくって、
閉塞感のはけ口を設けた彼を、
許さないのは当然として。
せめて、ユウが、自分で、
「このこと」の判断がつくまでは、
姉は、
自分が忍んで、息子を支えていこうと、
決心した。
…そこまでは、母から聞いて。
自分の憶測や、勝手な判断も含まれるけど。
こんな感じ。
強い。
この人は、強い人だ。
縁を切ろうとまで考えた、
好きではなかった姉。
今は、
夜のぼうけんしてた頃の、
大好きな姉に思えて。
また会いたい。会って抱きしめたい。
お姉ちゃん。
ひとりで苦しまないで。
いつでも、頼っていいんだよ。
そんなことしかできないで、ごめんね。
